「永遠の少女」 9
モモという少女が媒介して、2人のまったく反対の立場のものが仲直りしますが、それはお互いに敵同士のものが一つのやさしい心を間にして、近ずくことができたのでしょう。
こういう男性の心の中に共通にある媒介的な役割を演ずるものを、ユング心理学ではアニマとよびます。
モモは、男性の心の中のやさしさであり、人と人とを結ぶはたらきを持つ永遠の女性のイメージを持ち、男性の魂であり、息吹であり、生命でもあるアニマそのものといえるでしょう。
彼女は歌を忘れたカナリアが、いつかまた鳴きだすまで、じっと耳をすまして待つことができます。
犬や猫や、コオロギやヒキガエルの声を聞き、雨や風の音にまで耳をかたむけます。
それはモモ自身の楽しみでもありました。
彼女は円形劇場の真中に一人で座って、一晩中、星がかなでるひそやかな、しかし壮大な、そして心にしみいるような音楽に耳をかたむけることもよくあったといいます。
アフリカのブッシュマンたちもまた夜になると、星のささやきを聞くのだそうです。
彼らによれば、星たちは偉大な狩人で、夜のしじまに、彼らが弓を射るツゥー、ツァーという音が、大きなハーモニーを奏でて響きわたるのだということです。